山本純民 1941年作 唐銅天馬紋花瓶 高さ17.8cm 共箱
作者直筆葉書付き

山本純民 1882-1962

東京美術学校にて朝倉文男、香取秀真に師事。1928年帝展にて入選、文展・新文展等にも作品を出品、戦後は日展でも活躍を見せた金工家。


作品は口を大きく開き、膨らみある胴をもつ唐銅花瓶。肩部には天馬と雲の意匠が4つずつ交互に並び装飾されています。
共箱には「唐銅天馬紋花瓶」と題、「昭和十六年六月 山本純民作」と署名されています。年代からみるとこの半年後に太平洋戦争が開戦となるので、時代背景的に面白い作品です。

また、作者直筆の葉書きが付属しておりますのも魅力です。【新井喜惣治先生（彫刻家と思われる）】と宛名があり消印は豊島郵便局の11日・午前中。
遠方に差し出されたものではなく、豊島区駒込から豊島区要町へとなっており、先生と書かれていることからも気軽に逢う間柄ではないのかとも思われます。

文面は作品製作の遅延に侘びを入れている様子であり、製作の裏側も見られます。馬の花瓶の製作依頼を受け、その原型が完成し鋳物師へと渡したこと。
3点を製作し1点を選んでおり、作家として手を抜けぬことや製作した作品は展覧会へと出品する習慣があり待って欲しい、
いつもは依頼品の期日を守るが今回は6/15〜6/20前後までにはどうにかするので関係者に了解を得てほしいとの願いが書かれているようです。

本作が後に届いた「馬の花瓶」作品と思われますが、作者の人物像やその背景も窺える一品です。

【状態】

経年使用による汚れ、擦れあり。

【サイズ】

幅 : 約 16cm　　高さ : 約 17.8cm

【重量】

約 1663g