八代 水野源六 光春 明治時代 加賀象嵌 禽獣紋 薄端 花器 高橋介州識箱付

水野源六

加賀藩白銀職頭取を勤める。初代水野好栄は京都の後藤長乗に師事。 慶長年間に加賀藩主二代前田利長に招かれ、長男源次と次男源六を伴い加賀へ移る。 好栄の通称 源次は長男が継ぎ、次男の源六が別に家を興した。 初代源六 好房は、後藤悦乗より白銀職頭取の職務代行を命じられる。 以降、二代照善、三代多光、四代光政、五代光益、六代光則、七代光和と代々名工を排出した。
八代源六光春1837？-1895は1877年、金沢銅器会社が創設され頭取として参画。維新後も金沢金工に大きな影響を及ぼした。


加賀象嵌を代表する水野源六家の作品。 薄端の土台一つ上の脚部裏を覗くと銘が刻まれており、「加賀國金澤銅器會社 製作人 水野源六」が確認できます。

金工象嵌技術を集めたような見事な作品であり、高肉彫、毛彫に鍍金、赤銅、素銅の象嵌が惜しみなく施されています。 胴の肌がそのままなのは上下、他の箇所には少なからず装飾が施されているようです。 また単一な意匠ではなく、一つ一つが楽しめる異なった図柄となっており景色も大変豊か。

主絵となる胴に窓として描かれるフクロウと山犬＝禽獣の表現も見事であり、モチーフとしても面白く人気の高いものと窺え、 兎や雀なども描かれています。 ぐるりと周ってみてもそれぞれに違った文様が目に飛び込んできますので、大変に手の掛けられた構成で生み出された傑作です。

薄端ですので皿部が取りはずせますが、珍しい作りで双耳も上に引くことで外すことができます。

付属された箱は合わせとなりますが、石川県無形文化財である【高橋介州】による識の書かれたものとなります。

高橋介州1905-2004

東京美術学校にて海野清に師事。帝展・新文展・日展で活躍し1980年には日展参与となる。加賀象嵌による装飾性豊かな作品を得意とした。石川県無形文化財にも認定された名工。

【状態】

時代経年による汚れ、擦れ傷、掠れくすみ錆びあり。大きな直しや傷み等はありません。
箱は反り、ヒビ割れの経年がでております。

【サイズ】

幅 : 約 26.5cm
高さ : 約 41.5cm
重量 : 約 10.4kg